大学生になり、アルバイトを始めたり旅行したりする機会が増えてお金の出入りが増えるとお金について考える機会が増えてくることでしょう。
また、将来のことを考えたとき、早期退職して家族との時間を多く持ちたい、老後に向けて今から手を打っておきたい、など様々な理由から資産運用に興味を持っている方もいるでしょう。
そこで今回は、
つみたてNISAなど投資に興味があるけど大学生で始めることに不安がある方や、
実際に大学生でつみたてNISAをしている人の話が聞いてみたい方に向けて、
大学生である私が実際につみたてNISAを始めたきっかけやそれによって変わったことなどを一挙に紹介していきます。
始めたきっかけ
投資を始めようと思ったきっかけは、「r>g」の式でした。
高校生のとき、数学の先生が複利の話の延長で投資の話をしてくれたことがあり,その時に「r>g」というものを初めて耳にしました。
「r>g」とは、経済学者トマ・ピケティの著書「21世紀の資本」で示された不等式で、rは資本収益率、gは経済成長率のことです。
「r>g」は、資本収益率(r)の方が経済成長率(g)より大きい、即ち、資産運用によって得られる富(r)は、労働によって得られる富(g)よりも成長が早いということを意味します。
この話を聞いて、「もしこの話が本当ならば投資(資産運用)しないのはあまりにももったいないことなのでは?」と思うようになり、資産運用に興味を持ちました。
それをきっかけに大学生になってから投資の勉強を始めて2023年の4月からつみたてNISAを始めました。
目的は何?
つみたてNISAをする目的なんてお金を増やすことしかないじゃないか、と言われるとその通りなのですが、もう少し細かくいうと、大学生の間に使うお金を得るのが目的ではなく、20年後や30年後のお金を増やすために投資を始めました。
今すぐには使う当てのない、今までのお年玉貯金などを低利率の預金にしておくのではなく、リスクはあるが預金よりも高利率のインデックスファンドを買っておいてお金に働いてもらう、という目的もあります。
預金ではなくインデックスファンドにする理由は、預金は元本割れを起こすことはありませんが利回りは低く、一方、投資信託は元本割れを起こすリスクはありますが20年など長期で持ち続けることで平均利回り4%ほどは狙えると言われているからです。
次の画像は、先進国株式・先進国国債・両方を5割ずつ保有していたそれぞれの場合における保有年数別のトータルリターンを示しています。
出典:J.P.Morgan Asset Management「Guide to the Markets Japan 3Q 2023」
https://am.jpmorgan.com/jp/ja/asset-management/per/insights/market-insights/guide-to-the-markets/
このグラフからわかるように、1年など短い期間では大きくプラスになることもあれば大きくマイナスになることもあります。
しかし20年という長期で保有することで、その間には上がり下がりがあっても、トータルリターンはプラスになっています。
ただ、これはあくまで過去のデータに基づいたものであるため、これから先の20年もそうであるという保証はありません。
そのため、すぐには使う予定のないお年玉貯金などを長期投資に回すことにしました。
何を買っているの?
私がつみたてNIASで買っているのはeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(通称「オルカン」)です。
オルカンを買っている理由は以下の2つです。
- インデックス型の投資信託(インデックスファンド)である
- 世界全体に分散投資できる
1.インデックス型の投資信託(インデックスファンド)である
インデックス投資とは、日経平均やTOPIX(東証株価指数)などの指数に連動した運用成果を目指す投資方法です。
例えば、大雑把に言うと、日経平均に連動する投資信託を購入していた場合、日経平均が4%上昇すると自分の資産も4%近く上昇するといった具合です。
投資信託(ファンド)とは、多数の投資家から集めた資金を1つの基金とし、この基金を運用の専門家が株式や不動産に分散投資し、得られた利益を投資家に分配する仕組みの金融商品のことです。
アメリカの株式だけ入っている商品や、先進国の株式が入っている商品、債券、不動産の入っている商品など、様々な商品(ファンド)があります。
投資信託はその仕組みから、小額からの投資が可能・分散投資が可能などの特徴があります。
2.世界全体に分散投資できる
オルカンは名前からもわかるように、全世界の株式(日本を含む先進国および新興国の株式)で構成されている投資信託(ファンド)です。
オルカンは「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動する投資成果を目指す投資信託で、日本を含む先進国および新興国の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざします。従って、世界経済が成長すれば自分の資産も成長するということです。
リンクから目論見書を確認してもらえば詳しいことが分かります。
投資信託について勉強していく中で、オルカンとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の2つがおすすめであることがわかりました。
S&P500はアメリカの株式で構成されており、S&P500指数への連動をめざすファンドです。従ってアメリカの経済が成長すると自分の資産も成長するということです。
この2つのどちらかで考えていましたが、最終的にはオルカンにしました。
その理由は、上記のように20年以上保有し続けると考えたとき、世界全体の経済は今後も成長を続けていくだろうと考えることはできたのですが、アメリカ経済は今後も成長を続けていく姿が上手くイメージできなかったので、私は世界全体に投資できるオルカンにしました。
始めて変わったこと
つみたてNISAを始めて変わったことは以下の2つです。
- 社会への関心が高まった
- 物の価値の判断基準が増え、買い物の失敗が減った
1.社会への関心が高まった
つみたてNISAを始めるまでは全く読んでいなかった新聞を、始めてから読むようになりました。
それというのも自分の出資金がどのように使われているかが知りたくなり、社会への関心が高まったからです。
私は全世界株の投資信託を買っています。そのため大雑把に言うと、私の出資金は世界の経済の発展に使われることになります。
厳密には自分の投資金額は小さいものですし、新聞を読んだからと言ってその使い道がわかるわけではありません。しかし世界全体に投資をしているということは事実であるため、世界、社会の動きを知りたいと自然に思うようになり、社会への関心が高まりました。
社会への関心が高まり新聞やニュースを以前よりも見るようになったことで、大学の授業で習うことと実社会とのつながりを意識するようになり、大学の授業への関心・理解も高まるという正のループが生まれました。
2.物の価値の判断基準が増え、買い物の失敗が減った
つみたてNISAを始めてからは欲しいものがあったとき、その値段分のお金を作り出すにはどれだけの資本が必要なのかを考えるようになりました。
例えば、5,000円の服を買うとします。
5,000円を稼ぐにはいくつか方法がありますが、大学生にとって一般的なのはアルバイトで稼ぐことでしょう。自給1,200円で働いた場合、4時間ちょっと働けばその服を買うことができます。
一方、投資信託による不労所得で5,000円を作り出そうとすると、利率5%だとして、5,000円を作るには10万円の元手が必要です。
働いて買うには4時間ちょっと、不労所得で買うには10万円が、それぞれ必要です。
働いて買うか、資本を作ってから働かずに不労所得で買うか、このように考えるようになってから本当に今必要なものかより良い判断ができるようになり、買い物で失敗することが少なくなりました。
「大学生は投資をやめておけ」は本当か
「大学生は投資をやめておけ」という言葉を目や耳にしたことのある人も少なくないでしょう。
この問題に対して私はそんなことはないと考えます。
レバレッジを効かせたFXや一日中画面とにらめっこするデイトレードのようなものではなく、つみたてNISAでできる20年などの長期でのつみたて投資に関しては大学生から始めても良いと考えます。
もちろん長期のつみたて投資といっても投資である以上、預金とは異なり元本割れのリスクもあります。それにもかかわらず大学生は投資をやめておくべきだと思わない理由は、「大学生は投資を始めることで得られるメリットが多い」からです。
得られる主なメリットは次の2つです。
- 複利の効果を十分に享受できる
- 大学生のうちから社会のことが見えてくる
1.複利の効果を十分に享受できる
複利は期間が長いほど効いてきます。
下の画像は、利回り(年率)4%で毎月2万円を積み立てた場合のものです。
総額(積立元本+増えた額)に対する増えた額の割合は、20年では34.3%、30年では47.8%です。
このように複利の効果は期間が長いほど効いてきます。すなわち、早く始めれば始めるほど資産の成長スピードは大きくなるということです。
社会人になってからでは仕事を覚えるのに必死で投資の勉強に取れる時間も少ないでしょう。
そのため学生のうちに投資を始めるかどうかに関わらず、いつかは投資を始めようと思っている人は学生のうちに勉強を始めておくことをおすすめします。
2.大学生のうちから社会のことが見えてくる
投資を始めるとその値動きが気になるようになります。20年や30年売却せずに積み立て続ける前提だとしても、その値動きは気になります。
長期の投資信託で、全世界株やアメリカ株のような、世界全体やアメリカ全体への分散投資ができるファンドを買う場合、その値動きは投資した経済の動向に左右されます。
そのため、自分が投資した国や世界の経済状態がどうなっているのかが気になるようになり、いろいろと日々情報収集をする結果、社会のことが少しずつ見えてくるようになります。
始める上で気を付けること
つみたてNISAで投資を始める上で絶対に気を付けることは次の4つです。
- リスクを把握すること
- 余剰資金で行うこと
- すべてが自己責任であることを自覚すること
- 納得してから始めること
1.リスクを把握すること
投資にはリスクがあります。一般にリスクというと将来のある時点で何か悪いことが起こる可能性のことをいいます。
しかし投資におけるリスクとは不確実性のことです。したがって、投資においてリスクが大きいとは投資リターンの振れ幅が大きいことを意味します。
リスクの大きい投資商品は大きく利益が発生する可能性もあれば大きな損失を被る可能性もある、ハイリスクハイリターンである投資商品であるということです。
それに対しリスクの小さい投資商品は大きく利益が発生する可能性は低いが大きな損失を被る可能性も低い、ローリスクローリターンである投資商品であるということです。
このリスクは投資商品によって異なります。一般に、株式よりも債権の方がリスクは低い・新興国株よりも先進国株の方がリスクが低いと言われています。
投資を始めるにはこのリスクを把握することが大切です。
自分が買おうとしている投資商品がどのような商品であるのかを調べ、そのリスクを把握し、自分のリスク許容度内かどうかを判断する必要があります。
2.余剰資金で行うこと
投資は余剰資金で行いましょう。
何かのきっかけで急にお金が必要になっても投資しているお金を使える状態にするには売却が必要で時間がかかります。
また、売らずに20年など持っていたらトータルリターンはプラスになっていたかもしれないものが、お金が必要になったタイミングで売ることで損失を被る可能性もあります。
長期間持ち続けると決めたならそれを成し遂げられる無理のない、余裕をもったペースで投資は行いましょう。
3.すべてが自己責任であることを自覚すること
投資を始めようと色々と勉強するなかで、様々な人の考えや意見に出会うでしょう。
人によって言っていることが異なっていることもあります。一番信頼性の高い人のおすすめしている投資法を行っても損失を被ることもあります。
最後に投資をすると決めるのは自分自身です。その結果利益が出ようが損失を被ろうが自分自身の責任です。
4.納得してから始めること
最後は納得してから始めることです。
上の2つとかぶるところもありますが、投資を始めるときに一番大切なのは自分で納得してから始めることです。
とはいえ、投資を始める前にすべてを理解することは無理です。
そのためここで伝えたいことは、自分で「これなら始められる」と心から自然と思える状態になるまで情報収集をしてください。ということです。
投資を始めるために勉強を始めると知らないことがどんどん出てきます。知らないことを知ろうと勉強するとまた知らないことが出てきます。
少しでも「これってどういうことなんだろう」と思うことがあればわかるまで調べてください。その作業を繰り返して、「現段階でやれることは全部やった、後はやりながら勉強していく」と思える状態が理想だと思います。
私はこれなら始められると納得がいったのは投資の勉強を始めてから1年半たってからでした。
複利の効果は早く始めた方が大きくなると言いましたが、そうだからといって納得のいっていない状態で投資を始めるのではなく、じっくりと時間をかけて納得がいったときに始めてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
つみたてNISAを始めてから使えるお金が増えたなどの大きな変化はありませんが、20年、30年と長期で毎月コツコツと積み上げていくことで、将来の自由が広がります。
私は将来、仕事によって必要以上に、家族など自分の大切な人と過ごす時間が少なくなるのが嫌だったためつみたてNISAを始めました。
毎月コツコツと積み上げていくのは将来の幸せをコツコツと作り上げていく感じがしてワクワクします。
2024年からはNISA制度も大きく変わります。この機会に興味を持っている方はNISA制度の活用もご検討してみてください。
以上、大学生がつみたてNISAを始めてみて感じたことでした!
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